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よくわかる信念論③「世のためと人のための違い」

「世のため人のために働く」というフレーズがあります。誰でも聞いたことのあるフレーズですが、信念論では「世のため」と「人のため」の違いを明確にしています。

「世のため」の基準は数です。ビジネスで商品がたくさん売れる。スポーツで一番になって注目を集める。こうしたことが「世のため」です。「世のため」はお金や地位や名声に繋がりやすい反面、競争的でドライな部分があります。いわゆる「成功」を求める世界です。

「世のため」になる人間関係は、不特定多数と結ばれています。たとえばユニクロ創業者の柳井正社長は、全世界の2億人に対して洋服を販売しています。しかし、一人に一人に接客販売しているわけではありません。これが不特定多数との人間関係です。

「世のため」に頑張って成功しても、親子や友人や夫婦といった特定の関係がおろそかになっていると、幸福を感じるのが難しくなります。人が羨むほどのお金を持ちながら、「お金なんてあってもむなしいだけ」といったネガティブな気持ちになるのは、お金の有無の問題ではありません。ただ、「人のため」になる人間関係の自覚が欠けているからです。

一方、「人のため」の基準は質です。悩んでいる家族や友人やお客の相談に乗って、「ありがとう」「あなたのおかげだ」と感謝される。こうしたことが「人のため」です。「人のため」は共感的でぬくもりがある反面、お金や地位や名声にはあまり繋がりません。いわゆる「幸福」を求める世界です。

「人のため」に頑張って幸福を感じても、不特定多数との関係がおろそかになっていると、成功するのが難しくなります。「自分のやり方や考え方が広まれば、もっとたくさんの人が幸せになれるのに」と力不足を感じるのは、能力不足や勉強不足の問題ではありません。ただ、「世のため」になる人間関係の自覚が欠けているからです。

そして、この人間関係に対する自覚は、信念論によって高まります。他人や自分の発言や行動について、「誰が影響を与えたのか?」を確かめるようになると、自分に欠けている人間関係の種類と性質が自覚できるようになります。その自覚が、取るべき行動に駆り立ててくれるのです。

「世のため」と「人のため」は、どちらも人間関係に基づくものでありながら、そのベクトルは正反対になっています。世のためは「数」が基準になり、人のためは「質」が基準になります。世のためは「不特定の人間関係」を結び、人のためは「特定の人間関係」を結びます。世のためは「一方通行のチャンネル型」になり、人のためは「双方向のコミュニティ型」になります。世のためは「成功」を求め、人のためは「幸福」を求めます。

大切なのは、「世のため」と「人のため」の違いを知ることです。たとえば、ネットで情報を発信していると、たくさんの注目が集まることがあります。たくさんの注目という結果は「世のため」に当てはまるので、数で判断すべきであり、質で判断すべきではありません。

しかし、この判断基準を知らないと、一つ一つの高評価と低評価に反応してしまい、心がすり減ります。そもそも、あらゆる人間から肯定される人物や出来事など存在しません。すべてに賛否両論があるのが現実です。だからこそ、世のための仕事について、「良い、悪い」や「高評価、低評価」にこだわっても仕方ありません。こだわるべきは「どれだけ広まったのか」という規模です。

もちろん、「良い、悪い」「高評価、低評価」という質の基準がどうでもいいわけではありません。ただ、その基準は「人のため」に、つまり目の前のお客さんや家族や友人といった、対面でやりとりをする相手でこだわるべきです。

自分の目の前にいる人に、「ありがとう」「あなたのおかげだ」と言われる。そして、その内容を文章や音声や映像といった形で発信して、世に問う。「人のため」から「世のため」に少しずつシフトするのが、人間の基本的な成長モデルです。

こうした仕組みを知らないと、自分の悪評について、誰かに聞かれたわけでもないのに、「悪評なんて気にしてません」とコメントしたりします。このコメント自体が、悪評を気にしている証拠なのですが、人間関係と信念の仕組みを知らないと、そのことに気づけないのです。

しかし、信念論を知っていれば、「不特定多数の相手に、高評価を求めても仕方ない。大切なのは評価数だ」と考えられるようになります。この確認を他人や自分について繰り返していくと、やがて賛否両論が気にならなくなります。これがいわゆる「強いメンタル」です。メンタルの強弱は、人間関係に対する自覚によって変わります。

また、悩んでいる家族や友人やお客の相談に乗る時にも、信念論は役立ちます。悩みの大多数には人間関係が影響しているので、どんな人間関係からどんな信念が生まれるのかを知っていれば、ただの気休めではなく、本当に役立つアドバイスができるようになります。

このように人間関係に根ざした信念論を知ると、「世のため」と「人のため」の両方ができるようになり、その間でバランスを取ることもできるようになります。だからこそ、信念論は「成功」と「幸福」の手段なのです。

<よくわかる信念論一覧>
ようこそ信念論へ。方法論よりも大切なこと
よくわかる信念論①「図で考える」
よくわかる信念論②「影響を受けやすい人間関係一覧」
よくわかる信念論③「世のためと人のための違い」
よくわかる信念論④「悔しさとなぐさめ」
よくわかる信念論⑤「信念論がもたらす4つの変化」
よくわかる信念論⑥「信念論がもたらす4つの成長

信念論とは?

人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論が、行動力の正体です。信念論を知ることで、悩みや困難を乗り越えられるようになります。詳しくは下記リンクをご覧ください。