山田孝之「俳優仲間とのやりとり」から始まった映画監督

今週の『女性自身』に俳優・山田孝之のインタビューが掲載されています。彼が去年主演を務めたネットフリックスオリジナルドラマ『全裸監督』は、国内総再生回数1位を記録して話題になりました。2021年春に公開予定の長編映画『ゾッキ』では、竹中直人、齊藤工と3人で共同監督を務めています。

なぜ俳優である彼が監督を務めたのか。このインタビューでは、自分が身を置く映画界に対する信念が語られています。彼は二十代半ばから、小栗旬をはじめとした同世代の仲間と、「映画界やエンタメ界をよりよくするために何かをしなければいけない」と話し合うようになったと言います。

そして、その答えとして考えたのが、「プロデューサーとして変えていきたい」というものでした。その根拠について、「プロデューサーであれば、撮影現場での労働時間や睡眠時間も決めることができるし、さらに儲かった時の利益の配分のルールも作ることができます」と語っています。

彼は撮影現場での代表的な問題点として、「慢性的な睡眠不足」を挙げています。人件費削減のために撮影日数が短くなり、その結果後半の撮影が過密スケジュールになって、眠れない日が増えていく。このことがキャストだけでなくスタッフも含めたパフォーマンス低下をもたらしていると言います。

この考えをもとに映画『ゾッキ』では、「必ず8時間開ける」というルールを作って、それを守ることができたそうです。そして、その結果としてできた作品の質にも自信を見せています。

何かを成し遂げたり、習慣や性格を変えたりするには信念が必要です。そして、信念は「テーマ」「エピソード」「フレーズ」の3つで出来ています。

<信念の3要素>
1.テーマ(取り組むべき課題)
2.エピソード(心を揺さぶられた体験)
3.フレーズ(体験について考えたこと)

山田孝之の場合、テーマになっているのは「業界の体質」です。そして、長時間労働や睡眠不足という自分の体験から、「プロデューサーとして変えていく」と考えて、それが信念になっています。

「業界の体質」はビジネスにとって重要なテーマです。芸能界に限らず、どんな業界も様々な問題を抱えています。それが働いている自分たちに不利益をもたらしていることもあれば、お客さんにもたらしていることもあります。

よい仕事をするには、自分や相手のためにただ頑張るだけでは足りません。物事を大きな視点で捉えて、不利益をもたらしている問題点を特定する必要があります。この大きな視点に当たるのが「業界の体質」です。

業界の体質は携わる人間にとって常識になっています。自分たちの常識から問題点を特定するのは簡単ではありません。私たちは「それが常識だ」と考えると、我慢しようとするからです。だからこそ、ビジネスでは「常識を疑うこと」が金言になっています。

信念を持つには、自分が決めたテーマについて日頃から情報を集める必要があります。また、ただ信念を持つだけでなく、それを誰かに話して、自覚を高めることも大切です。信念の3要素に、このヒントとアウトプットを加えた5ステップを私は「マインドレコーディング」と読んでいます。

〈マインドレコーディングの5ステップ〉
1.テーマを決める
2.ヒントを集める
3.エピソードを振り返る
4.フレーズを作る
5.アウトプットで確かめる

彼の体験談では、同世代の仲間と話し合うことが、ヒントを集める行為になっています。相手の仕事の話を聞いて、「そういえば自分にも似たようなことがあった」と体験を思い出す。そして、その体験について自分が話すことで、相手もさらに別の体験を思い出して話す。この相互作用によって、「当たり前になってるけど、おかしいから変えるべき」という機運が高まります。

こうしたやりとりは20代後半から30代にかけて起こります。20代前半は仕事を覚えるのに手一杯で、考える余裕がありません。それが20代後半になると、自分が覚えてきた仕事を振り返って、その妥当性を検討する余裕が出てきます。

ただ、「おかしいから変えていこう」と仲間と意気投合したからといって、すぐに現実を変えられるわけではありません。それぞれが自分の仕事をこなしながら、空き時間を使ってさらに話し込み、少しずつ具体的にしていく過程が数年間続きます。信念は年単位の時間をかけて、少しずつ形になっていくのです。

このように何かを成し遂げるには仲間が欠かせません。「頑張ればうまくいく」といった根性論や、「こうすればうまくいく」という方法論は、浅い物の見方です。仲間と語り合い、信念を育むからこそ、「業界の体質」のような大きなスケールに取り組めるようになります。

信念論とは?

人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論が、行動力の正体です。信念論を知ることで、悩みや困難を乗り越えられるようになります。詳しくは下記リンクをご覧ください。