【鬼滅の刃】ネガティブで孤独だった冨岡義勇が変われたワケ

「俺には関係ない」

映画が大ヒット中の『鬼滅の刃』。この作品では各キャラクターの行動理由や決断理由が詳しく描かれています。水柱の冨岡義勇はもともとはネガティブな性格でした。鬼舞辻無残との決戦に向けた特訓にも、「俺には関係ない」と言って参加しようとせず、他の柱を苛立たせました。

ところが、あることがきっかけで彼はその特訓に参加するようになりました。いがみ合っていた柱に対しても、「今度から好物のおはぎを持って行こう」と考えるなど、「陽気」とまではいきませんが、仲間と普通に接するようになったのです。

彼はなぜネガティブな性格を変えられたのか。何かを成し遂げたり、習慣や性格を変えたりするには信念が必要です。そして、信念は「テーマ」「エピソード」「フレーズ」の3つで出来ています。

<信念の3要素>
1.テーマ(取り組むべき課題)
2.エピソード(心を揺さぶられた体験)
3.フレーズ(体験について考えたこと)

死にゆく者が想いを託し、残された者が想いを受け継ぐ

義勇のテーマは「継承」です。彼はこのテーマについて、鬼殺隊の選別で知り合い、友人になった錆兎のことを思い出しました。義勇の姉は義勇のことを鬼から守ろうとして命を落としています。義勇が「姉ではなく、自分が死ねばよかった」と弱音を吐くと、錆兎は「自分が死ねばよかったなんて二度と言うな」「姉が命をかけて繋いでくれた命を、託された未来を、お前も繋ぐんだ」と諭しました。

この体験を思い出した義勇は、「なぜ忘れていた? あのやりとり。大事なことだろう」と考えています。その結果、自分の命を大切にして、前向きに生きるようになったのです。

「継承」は人間にとって重要なテーマの一つです。人間はいつか必ず死にます。それゆえに自分が生きた証を残そうとします。その証の一つが「想い」です。鬼滅の刃では、「死にゆく者が想いを託し、残された者が想いを受け継ぐ」という継承が何度も描かれています。

継承はいつでも適切に行われるわけではありません。親しい人物の死は大きな悲しみが伴います。そして、その大きな悲しみゆえに、受け継ぐはずだった想いを心の奥に封じ込め、忘却することがあります。その影響はとても大きく、人生全体に暗い影を落としかねません。義勇はまさにこれに当てはまります。

誰もが「救われるしかない部分」を抱えている

信念を持つには、自分が決めたテーマについて日頃から情報を集める必要があります。また、ただ信念を持つだけでなく、それを誰かに話して、自覚を高めることも大切です。信念の3要素に、このヒントとアウトプットを加えた5ステップを私は「マインドレコーディング」と読んでいます。

〈マインドレコーディングの5ステップ〉
1.テーマを決める
2.ヒントを集める
3.エピソードを振り返る
4.フレーズを作る
5.アウトプットで確かめる

義勇のヒントになったのは炭治郎です。彼は義勇に「義勇さんは錆兎から託されたものを繋いでいかないんですか?」と問いかけます。この問いかけは生前の錆兎の言葉と類似しています。これが呼び水になって、義勇は錆兎とのやりとり思い出しました。

人間には悲しみや苦しみのあまり、一人では思い出せなくなった記憶が存在します。そして、その記憶の空白がその人や行動や人生全体を歪ませています。この呪縛から抜け出すには、他人の力を借りるしかありません。人間は誰もが「救われるしかない部分」を抱えています。

炭治郎は以前に「自分を助けるために煉獄杏寿郎が死ぬ」という経験をしています。そんな彼だからこそ、義勇が「自分が死ねばよかった」と考えていると推察できています。人間を救うのは、この共感です。

人生は「大切なことを忘れては、また思い出す」の繰り返しです。この繰り返しによって、信念は強くなります。『鬼滅の刃』が人気なのは、こうした過程が丹念に描かれているからです。漫画の歴史に残る傑作だと思います。

マインドレコーディングとは?

「頑張ればうまくいく」という根性論でもなければ、「こうすればうまくいく」という方法論でもない、物事を成し遂げるための信念を持つ手法。それがマインドレコーディングです。
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