『天穂のサクナヒメ』が最も影響を受けたゲームは『アクトレイザー』だった

「『アクトレイザー』のチャレンジを肯定したかった」

今年ヒットしたゲームに『天穂のサクナヒメ』があります。コアメンバーわずか2名で開発しながら、世界累計出荷本数が50万本を突破して話題になりました。

『サクナヒメ』はアクションパートと稲作シミュレーションパートで構成されています。この稲作パートが細かく作り込まれていて、「奥が深い」と注目を集めました。

この作品を開発した同人ゲームサークル『えーでるわいす』のインタビューが週刊プレイボーイに掲載されています。彼らは自分たちが最も影響を受けたゲームとして、1990年に発売されたスーパーファミコンソフト『アクトレイザー』を挙げています。

『アクトレイザー』は横スクロールアクションと街づくりシミュレーションで構成されています。この街づくりパートについて、彼らは次のように話しています。

“あれも当時は「シミュレーションがよけいだ」と言われてたと思うんですよ。実際、続編ではアクションだけになりましたから。『サクナヒメ』も発売前は似たようなことを散々言われました。でも僕らは『アクトレイザー』のチャレンジを肯定したかった。そこは譲らなかった”

「影響」と「アレンジ」が信念を作る

何かを成し遂げたり、習慣や性格を変えたりするには信念が必要です。そして、信念は「テーマ」「エピソード」「フレーズ」の3つで出来ています。

<信念の3要素>
1.テーマ(取り組むべき課題)
2.エピソード(心を揺さぶられた体験)
3.フレーズ(体験について考えたこと)

『えーでるわいす』のテーマになっているのは「メッセージ」です。彼らは『アクトレイザー』に心を揺さぶられて、「そのチャレンジを肯定したかった」と考えています。だからそれが信念になって、アクションパートとシミュレーションパートで構成されている『天穂のサクナヒメ』を作ったのです。

メッセージはビジネスにとっても重要なテーマの一つです。自分が誰に何をどんな風に届けるのか。そのメッセージは自分が誰にどんな影響を受けたかで決まります。ゲームを作ろうとしている彼らが、自分の好きだったゲームをお手本にしているのは、とても自然です。

もちろん『サクナヒメ』はアクトレイザーをただ真似したわけではありません。彼らは最初、成長要素として「村づくり」を検討していました。しかし、「そうしたゲームはすでにたくさんある」と思い直し、「和風ゲームで何かを育てるなら米だ」と考えました。

このように自分が心を揺さぶられた体験を振り返り、自分なりに考えると、それが自分の信念になります。信念は「影響」と「アレンジ」でできているのです。

信念が創作を支えてくれる

信念を持つには、自分が決めたテーマについて日頃から情報を集める必要があります。また、ただ信念を持つだけでなく、それを誰かに話して、自覚を高めることも大切です。信念の3要素に、このヒントとアウトプットを加えた5ステップを私は「マインドレコーディング」と読んでいます。

〈マインドレコーディングの5ステップ〉
1.テーマを決める
2.ヒントを集める
3.エピソードを振り返る
4.フレーズを作る
5.アウトプットで確かめる

彼らが影響を受けたゲームは『アクトレイザー』だけではありません。その一例として、アクションパートについて『デビルメイクライ』シリーズの影響を挙げて、「自分たちが好きなゲームの要素があちこちに散りばめられています」と答えています。彼らは「こうしよう」と考えるに至ったヒントについて、とても自覚的です。そうでなければ創作はやり遂げられません。

ゲーム作りに限らず、創作には大変な労力がかかります。新しいものを作る時は「これが正しい」という基準がありません。しかも、その状態が『サクナヒメ』のように長時間続きます。この時大切になるのは、「頑張ればうまくいく」と根性論でもなければ、「こうすればうまくいく」という方法論でもありません。「自分はこれをやるんだ」という信念です。

『サクナヒメ』は開発に5年半かかっています。また、二人はもともとゲーム会社に勤めていて、『サクナヒメ』の企画案を会社に見せたところ、「こんなの全然ダメだ」と言われたそうです。それでもなお作品を作り上げ、日の目を浴びたのは本当に素晴らしいことです。すべてのクリエイターにとって励みになる体験談だと思います。

マインドレコーディングとは?

「頑張ればうまくいく」という根性論でもなければ、「こうすればうまくいく」という方法論でもない、物事を成し遂げるための信念を持つ手法。それがマインドレコーディングです。
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