1記事で30万PV。600倍読まれる文章を書けた理由

私は扶桑社のWEBサイト『日刊SPA!』で「魂が燃えるメモ」という連載をしています。その連載記事の一つ、「ワンピーでナミはなぜルフィを殺さなかったのか?」という記事が30万PVを記録しました。

どうしてこの記事は多くのPVを集められたのか。「私に文才があるからです」と言いたいところですが、残念ながらそうではありません。私はもともとたくさん読まれる文章を書ける人間ではありませんでした。内容には自信がありましたが、「良いものなら広まる」という幻想から抜け出せていませんでした。

何かを成し遂げたり、習慣や性格を変えたりするには信念が必要です。そして、信念は「テーマ」「エピソード」「フレーズ」の3つで出来ています。

<信念の3要素>
1.テーマ(取り組むべき課題)
2.エピソード(心を揺さぶられた体験)
3.フレーズ(体験について考えたこと)

30万PV読まれた記事を書いた時、私は「世のための仕事」をテーマに掲げていました。そしてこのテーマについて、「自分の話を聞いてもらいたい時は、相手の興味のある話題から始めろ」というアドバイスを思い出し、「世のための仕事には題材が重要だ」と考えるようになりました。

それまでの私は「ある教師」や「ある心臓外科医」といった、自分が受けた人生相談の相手を題材にしていました。しかし当たり前のことですが、読者はその教師や心臓外科医のことを知りません。その当たり前に気づいて、「もっと誰もが知っていて興味を持っている、有名漫画のキャラクターについて書いてみよう」と考えました。その結果できあがったのが、『ワンピースでナミはなぜルフィを殺さなかったのか?』という記事です。

私たちは仕事に対して、「世のため、人のために働く」というイメージを持っています。しかし、「世のため」と「人のため」は全くの別物です。「数」を追求するのが世のためであり、「質」を追求するのが人のためです。

「人生相談」の仕事をしている時、私は目の前の人のために働いて、「あなたのお陰で人生が変わりました。本当にありがとうございます」と感謝されることを目的にしていました。つまり、仕事の質を追求して、できるだけ「良いもの」を提供しようとしていたのです。

私は「心を揺さぶられた体験を思い出すことで、人生は変わる」というメッセージを一貫して伝えています。それが私の仕事における「良いもの」です。ただ、そのメッセージを『ワンピース』を題材にして伝えるか、それとも『ある学校の先生』や「ある心臓外科医」といった一般人を題材にして伝えるかで、どれだけ多くの人に読んでもらえるかという、「数」が変わることに気づきました。

日刊SPA!は月間4400万PVの人気サイトです。そこで記事を書けばどんな内容でもそれなりに読まれると思うかもしれません。しかし現実はそこまで甘くありません。これまでに一番読まれなかった私の記事は500PVしかありません。同じ人間が書いても、やり方次第で600倍も結果が変わってしまいます。

「世のための仕事」として数だけを追求すると、不倫や轢き逃げといったスキャンダルなニュースに内容が傾いていきます。「そんなニュースが誰のためになるのか?」と疑問を感じる人もいると思いますが、その疑問は正しく、そうしたニュースが誰かのためになることはありません。

なぜなら、それは人のためにではなく、世のために作られているからです。とはいえ、「これは良いものだから」「これは素晴らしいものだから」と考えて、「人のための仕事」に徹してしまうと、それが世間に広まることもありません。大切なのは「世のため」と「人のため」を両立することです。そのことに気づいた私は、自分のメッセージを伝えつつ、多くの人に読まれる文章が書けるようになりました。

信念を持つには、自分が決めたテーマについて日頃から情報を集める必要があります。また、ただ信念を持つだけでなく、それを誰かに話して、自覚を高めることも大切です。信念の3要素に、このヒントとアウトプットを加えた5ステップを私は「マインドレコーディング」と読んでいます。

〈マインドレコーディングの5ステップ〉
1.テーマを決める
2.ヒントを集める
3.エピソードを振り返る
4.フレーズを作る
5.アウトプットで確かめる

自分のテーマを定めれば、そのテーマに関係した情報を自然と集めるようになります。私の場合は昔買ったマーケティングの本をいくつか読み返している間に、「自分の話を聞いてもらいたい時は、相手の興味のある話題から始めろ」というアドバイスを見つけました。その時はじめて「そういうことだったのか」と納得ができて、題材にもこだわるようになりました。

「自分の話を聞いてもらいたい時は、相手の興味のある話題から始めろ」というアドバイスは、マーケティング本を10冊読めば一度は目にする定番の内容です。私もそれまでに何度も似たような内容を目にしていました。

しかし人間はただ知識として知るだけでは、使いこなせるようになりません。自分のテーマと絡めて、他人事ではなく自分事として見聞きするから、使いこなせるようになります。「たくさん読まれるために、世間で話題になっていることを題材にしろ」というノウハウだけではほとんど意味がないのです。

自分が「人のため」ばかりに偏っていて、「世のため」を意識していない。話題や流行を軽んじて、自分のメッセージばかりにこだわっている。もっと「世間」や「世のため」について知ろうと考え、それをテーマに定めているからこそ、マーケティング本に書かれている知識が使いこなせるようになるのです。「ああ、あれね、知ってる知ってる」という知識は無意味です。

単なる知識ではなく、自分事にして使いこなせるようになるために、私はマインドレコーディングを考案しました。「どうしてこんなに良い物が広まらないんだ」と嘆いている人はたくさんいると思います。そんな方はぜひこのマインドレコーディングを実践してみてください。「世のため」をテーマにすることが、自分の仕事を変えるきっかけになってくれるでしょう。

信念論とは?

人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論が、行動力の正体です。信念論を知ることで、悩みや困難を乗り越えられるようになります。詳しくは下記リンクをご覧ください。