【呪術廻戦】祖父の影響で呪術師になった虎杖悠仁の信念

「オマエは強いから人を助けろ」

「ポスト鬼滅」の呼び声も高い『呪術廻戦』。主人公の虎杖悠仁(いたどりゆうじ)はもともと普通の高校生でしたが、呪術師たちの集まる『呪術高専』に入学し、呪霊との戦いに身を投じるようになります。

第1話で悠仁は呪物や呪霊、呪術師と遭遇します。しかし、それだけでは呪術師を志す理由にはなりません。悠仁以外の一般人は呪術の関わる事件に巻き込まれても、彼のようにその世界に踏み込んではいかないからです。

悠仁が呪術師を志すきっかけになったのは、病気で入院している彼の祖父です。祖父は悠仁が呪術師と出会ったのと同じタイミングで息を引き取り、「オマエは強いから人を助けろ」「オマエは大勢に囲まれて死ね」という遺言を残しました。

部活の先輩が呪霊に殺されそうになった時、悠仁は死の恐怖に立ちすくんでいました。しかし、「オマエは強いから人を助けろ」という祖父の遺言を思い出して、呪霊を奇襲します。それが悠仁の呪術師としての始まりです。

「正しく死んでほしい」

人間が何かを成し遂げる時は、信念の力が働いています。そして、その信念の源になるのは人間関係です。誰かに心を揺さぶられて何かを連想すると、その連想が自分の信念になります。

悠仁は部活の先輩を救った直後、呪術高専でクラスメイトになる伏黒恵に「せめて自分が知ってる人くらいは正しく死んでほしいって思うんだ」と話します。この「正しく死んでほしい」というのが、祖父の死という体験から生まれた、悠仁の信念です。

信念は「出会い」と「別れ」から強い影響を受けます。特にその別れが「死別」であればなおさらです。人間はいつか必ず死にます。そして生者と死者は話すことができません。その断絶を埋めるために死にゆく者は想いを託し、残れされた者は思いを受け継ごうとします。死別では、この「継承」がとても重要になります。

しかし継承は必ずしも完全に行われるわけではありません。親しい人物の死は大きな悲しみが伴います。その大きな悲しみゆえに、受け継ぐはずだった思いを心の奥に封じ込めて、忘却することがあります。その影響はとても大きく、人生全体に暗い影を落としかねません。悠仁の場合は祖父の死の直後に、自分や友人に死の危険が迫ったことで、自然と取り組まざるをえない状況になっています。

また、信念はただ誰かに影響を受けて言いなりになるだけでなく、自分なりのアレンジが加わります。悠仁が呪術師になる理由について「祖父の遺言」と答えた時、呪術高専の学長は「君は自分が呪いに殺される時も、祖父のせいにするのか」と問いかけました。

この問いかけによって、悠仁は自分が呪術師にならなかった結果、呪いで死ぬ人が増える未来を想像して、「自分が死ぬ時のことは分からんけど、生き様で後悔はしたくない」と答えを修正します。この修正には、「正しい死に方をしてほしい」という信念が関わっています。このように信念は「きっかけになった他人のやりとり」と「自分の連想」の両方で成り立っているのです。

虎杖悠仁のテーマになっている「死生観」

信念を持つには、「テーマを決める」「ヒントを集める」「エピソードを思い出す」「フレーズを作る」「アウトプットで確かめる」という5つのステップがあります。私はこの仕組みをマインドレコーディングと呼んでいます。

悠仁のテーマになっているのは、「死に方」や「生き様」という言葉からわかるように「死生観」です。そしてその死生観について、複数の人物とのやりとりをヒントにして、祖父の遺言を度々思い出し、自分なりのフレーズを連想しています。そして、それが困難を乗り越えるための信念になっています。

『呪術廻戦』はフィクションですが、キャラクターが信念を持つ過程は現実の人間と変わりがありません。でなければ読者の共感を得られず、人気にはなりません。物理現象は無視できても、心理変化は無視できないのが物語です。

虎杖悠仁は身体能力や呪いに対する耐性から、呪術の世界で生きる素質がありました。しかし、そうした素質や才能だけでは、人は自分の道を選べません。また選んだとしても、深い部分で納得できずに大成は難しくなります。

人間は「頑張ればうまくいく」という根性論でも、「こうすればうまくいく」という方法論でもうまくいきません。なぜなら、どんな道を選んでも、その道を進んだ先で「うまくいかない」という困難に見舞われるからです。

そして、その困難を乗り越えるのに必要なのは、「だから自分はこれをやるんだ」という信念論です。虎杖悠仁の物語は、その信念が「他力」と「自力」の両方でできていることを物語っています。

マインドレコーディングとは?

「頑張ればうまくいく」という根性論でもなければ、「こうすればうまくいく」という方法論でもない、物事を成し遂げるための信念を持つ手法。それがマインドレコーディングです。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る