【麒麟がくる】坂東玉三郎がドラマ初出演で心がけた「演技をしない」

歌舞伎役者の坂東玉三郎は、2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』で、正親町天皇を演じました。玉三郎がテレビドラマに出演するのは、これが初めてで、「あまり演技をしない」ように心がけたと言います。

雑誌のインタビューによると、当時の天皇家に関する資料はほとんどなく、正親町天皇についても肖像画が一枚あるだけだったそうです。しかし、玉三郎はこの肖像画から、天皇の顔つきや姿勢を研究しました。

ここで言う顔つきや姿勢の研究は、筋肉や重心といった運動学的なものではなく、人間関係的なものです。顔つきや姿勢からは、その人がどんな人間関係に囲まれて、どんな振る舞いをしているのかを読み取れます。とはいえ、それを実写ですらない肖像画から読み取ろうとするのは、重要無形文化財(人間国宝)に認定された玉三郎ならではの手腕です。

玉三郎は正親町天皇に影響を受けて、その役を演じています。そして、その状態を「演技をしない」と表現しています。この「演技をしない」というのは、玉三郎の役者としての信念です。

「頑張ればうまくいく」という根性論でもなければ、「こうすればうまくいく」という方法論でもない、人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論が人間には必要です。この信念論のパターンを覚えれば覚えるほど、自分の信念も自覚できるようになります。

役者は信念と深い関わりのある仕事です。台本に書かれているセリフや動きをなぞるだけでは役者とは言えません。ただ「怒ってみてください」と言われても怒ることはできず、「最近ムカついたことは?」と聞かれて、自分の人間関係を思い出すと自然に怒りが湧いてくる。これをハイレベルで再現するのが役者です。そして、その過程を言葉にすると、「演技をしない」「表現をしない」という表現になります。

このことを玉三郎は、自分が普段演じている『女型』に絡めて、次のように話しています。「演技というのは感情を再構築すること」「『型』を土台に、自分の経験や技術、他人との関係、情感を入れていかに生きた人間にしていくか。それを繰り返すことが、『女型』を演じる、ということになるのです」

人間関係に根ざした信念論が必要なのは、役者だけに限りません。大河ドラマでは、織田信長、豊臣秀吉、坂本龍馬といった過去の偉人が登場します。こうした過去の偉人に心を揺さぶられて、政治家や経営者を志すのは、その偉人から信念を受け継いでいるということです。

たとえば最近の経営者だと、ソフトバンクの孫正義は司馬遼太郎の小説『竜馬がいく』を読んで、海外留学を決めました。このように人間は形のない信念を先人から受け継いで社会を再構築し、歴史を紡いでいるのです。

信念論とは?

人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論が、行動力の正体です。信念論を知ることで、悩みや困難を乗り越えられるようになります。詳しくは下記リンクをご覧ください。