【愛の不時着】婚約者に執着していたソ・ダンが自分の気持ちに正直になれたワケ

婚約者に執着していたダン

韓国ドラマ『愛の不時着』では主人公のセリとヒョンジョクの恋愛以外にも、ソ・ダンとク・スンジュンの恋愛が描かれています。

ダンはヒョンジョクの婚約者です。ロシアに留学していた彼女は、ヒョンジョクとの結婚を進めるために北朝鮮に帰国します。ところが、ヒョンジョクが秘密警察から匿おうとしてセリを婚約者と偽ったため、セリとヒョンジョクとダンの三角関係に発展します。

ヒョンジョクとダンは婚約期間が7年も続いていたものの、恋愛的な進展はほとんどありませんでした。ダンは同じ中学にいた頃からヒョンジョクのことが気になっていましたが、ヒョンジョクは彼女のことを覚えおらず、政略結婚だと考えています。また、ヒョンジョクは兄を謀殺されたことで、心を閉ざして生きる選択をしていました。

ダンはヒョンジョクの心が自分に向かっていないことに気づきつつ、それでも彼との結婚にこだわっていました。「それは恋愛ではなく、執着だ」と指摘したのが、詐欺を働いて北朝鮮に逃亡してきたク・スンジュンです。

ダンはこのスンジュンに少しずつ惹かれていきます。それでもまだ表面的には、あくまでもヒョンジョクとの結婚を進めようとしていました。そんなダンに変化をもたらしたのが、彼女の母親であるコ・ミョンウンです。

ダンを変えた母親の本音

ミョンウンは平壌最大のデパートを経営する女社長です。彼女は物語の緊張を和らげるためのコメディリリーフで、二人の結婚を進めるためにヒョンジョクの両親に掛け合ったり、セリのことを怪しんで酒席を開いて正体を暴こうとしたりします。しかし、こうした振る舞いはすべて娘であるダンの幸せを考えてのことでした。

ミョンウンは泥酔した時に、ダンに次のように本音も漏らします。「お母さんに気を使わずに幸せになりなさい」「私が死んだあと、あなたが不幸だったらどうしようって、私が間違っていたらどうしようって、そう思うと怖くてたまらないの」

このやりとりの後、、ダンはスンジュンの呼び出しに応じて待ち合わせ場所に出かけ、その場で彼の唇を奪いました。彼女はそれまで「自分はヒョンジョクと結婚しなければならない」と考え、それが信念になっていました。しかし母親の言葉を聞いたことで、その信念が変化したのです。スンジュンとの恋愛の進展はその結果です。

何かを成し遂げたり、習慣や性格を変えたりするには信念が必要です。そして、信念は「テーマ」「エピソード」「フレーズ」の3つで出来ています。

<信念の3要素>
1.テーマ(取り組むべき課題)
2.エピソード(心を揺さぶられた体験)
3.フレーズ(体験について考えたこと)

ダンのテーマになっているのは「心変わり」です。彼女は母親から「誰かに気を使わずに幸せになれ」と言われたことで、自分の気持ちに正直になることができました。このように自分の信念が誰かの受け売りであることは珍しくありません。重要なのは、その言葉にどれだけ心を揺さぶられたかどうかです。

心は人間関係で変わる

「心変わり」は恋愛に限らず、人生にとって重要なテーマです。人の心は人間関係でできています。親の前では子供としての感情が、友人の前では友人としての感情が、恋人の前では恋人としての感情がそれぞれ浮かんできます。そうしたさまざまな感情が浮かんでくる源泉になっている人間関係が、その人の心です。

だからこそ、人間関係が変わることは、その人の心が変わることを意味します。その変化が一番わかりやすいのは、「出会い」と「別れ」です。たとえば『愛の不時着」では、ヒョンジョクはセリとの出会いによって、それまで閉ざしていた心を再び開くようになりました。

出会いと別れの他にも、心変わりのきっかけになるものがあります。それが相手の本音です。ダンは母親であるミョンウンの「あなたに幸せになってほしい」という本音に触れたことで、自分の幸せを第一に考えるようになりました。

ダンの恋愛の対象になっているのはヒョンジョクとスンジュンです。しかし、その選択に対して、母親のミョンウンが影響を与えています。このように人間関係は、目の前にいる相手だけで決まるものではありません。恋愛が二人の間だけで進むというのは幻想です。

信念を持つには、自分が決めたテーマについて日頃から情報を集める必要があります。また、ただ信念を持つだけでなく、それを誰かに話して、自覚を高めることも大切です。信念の3要素に、このヒントとアウトプットを加えた5ステップを私は「マインドレコーディング」と読んでいます。

〈マインドレコーディングの5ステップ〉
1.テーマを決める
2.ヒントを集める
3.エピソードを振り返る
4.フレーズを作る
5.アウトプットで確かめる

お酒が本音を引き出す

ダンは酔っ払って帰ってきたミョンウンを介抱した時に、この話を聞かされました。ミョンウンはこの時の他にも泥酔して帰ってきた時に、「私は娘が婚約者とうまくいってるか知りたいの。幸せなのか、彼に愛されているのか、それが知りたいの」と話しています。

『愛の不時着』に限らず韓国ドラマは酒の席で、自分の本音をしみじみと語るシーンがよく描かれています。今年話題になった『梨泰院クラス』でも、酔っていた主人公のセロイが「どうして店の名前を『タンバム(甘い夜)』にしたのか?」と聞かれて、「苦い人生を甘くしたかった」とこぼすシーンがあります。

酒が本音を引き出すのはフィクションに限りません。もし気を許して話すのにふさわしい相手なら、家族や友人や同僚との酒は互いの本音を語り、自の信念に気づくための良い機会になります。

ミョンウン役のチャン・へジンの演技はコメディチックでありながら、娘に対する愛情を滲ませています。また、その愛情が実際に語られる脚本にも脱帽です。『愛の不時着」は主役級だけでなく脇役にも光るところがある、人気になるのもうなずける良作でした。

マインドレコーディングとは?

「頑張ればうまくいく」という根性論でもなければ、「こうすればうまくいく」という方法論でもない、物事を成し遂げるための信念を持つ手法。それがマインドレコーディングです。
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