医師・阿部吉倫「患者の一言」で開発したAI問診サービス『ユビー』

医師の阿部吉倫は、高校時代の友人である久保恒太と共同で、『AI問診ユビー』を開発しました。AI問診ユビーはタブレットやスマートフォンで症状や発症時期に関する質問に答えると、電子カルテに記載できる医療用語に翻訳されて表示されます。

患者が答える20前後の質問は、50万本の医学論文を学習したAIが3500の質問から症状に応じて選択しています。疑われる病名をサジェストする機能もあり、頭痛を訴えた患者に対して、「クモ膜下出血」がサジェストされ、CT撮影をしたところ実際にそうだったという事例もあったそうです。

このAI問診ユビーは2018年のサービス開始以降、200以上の病院に導入され、外来の平均問診時間を10.3分から3.5分に短縮した実績があります。こうした実績が評価されて、第3回日本サービス大賞で、厚生労働大臣賞と審査員特別賞を獲得しました。また2020年4月からは一般向けに適切な病院や診療科をアドバイスする『AI受信相談ユビー』もスタートしています。

このAI問診ユビーを開発するきっかけになったのが、阿部が問診した患者です。パソコンで電子カルテを記入しながら問診していた阿部は、その患者に「こっちを向いて話を聞いてください」と言われました。

この時、阿部は「患者と向き合うよりも、膨大な事務作業に時間を取られるのはおかしくないか」「こんな状況は変えなければ」という信念を持ちました。それが形になったのがAI問診ユビーです。

「頑張ればうまくいく」という根性論でもなければ、「こうすればうまくいく」という方法論でもない、人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論が人間には必要です。この信念論のパターンを覚えれば覚えるほど、自分の信念も自覚できるようになります。

阿部にとって、その患者は「素人」です。プロフェッショナルは素人にはわからない知識や技術を蓄積しています。しかし、その知識や技術に偏ると、「人のためになる」という初心を見失います。素人はそのプロが見失う初心を教えてくれます。

こうした素人の言葉は、聞いていて耳が痛くなるような「忠言」です。聞いていて耳が痛くなって、「いやそれは」とか「何も知らないくせに」と反論したくなる言葉を、まず素直に聞き入れられるかどうか。それがただ知識や技術があるだけでなく、相手のためになる本当のプロになれるかどうかの境目になります。

阿部の体験談は「医者が怠けている」とか「医者に人の心がない」といった話ではありません。いつの時代のどんな仕事も、誰もが精一杯に仕事をしています。人の命を預かる医者は特にそうです。

しかし同時に、「もっとこうなったらいいのに」という課題が残っているのも確かです。そして、その課題を解決するのはテクノロジーです。人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論と、AIやデジタルファブリケーションのようなテクノロジーの掛け算は、多くの人に貢献できる仕事を生み出します。

信念論とは?

人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論が、行動力の正体です。信念論を知ることで、悩みや困難を乗り越えられるようになります。詳しくは下記リンクをご覧ください。